Ziereisen / Hard 2019 ツィアアイゼン / ハート 2019

¥7,590

抜栓直後は火打石やチョークのようなミネラル感が中心でオレンジやカリンのようなニュアンス。非常に引き締まった味わいで、シャープ。時間経過とともににふくよかでクリーミーな質感に変化し、奥行きと複雑性が現れる。塩味とチョークのニュアンスが中心でフィニッシュにはほのかな苦味と柑橘系の爽やかさ。マンダリンのような香りが余韻にほんのり漂う。

タイプ:白ワイン

生産者:Ziereisen / ツィアアイゼン

生産地:ドイツ / バーデン / エフリンゲン・キエヒェン村

品種:シャルドネ

容量:750ml

在庫あり

説明

ツィアアイゼンが位置するのはドイツ最南端のワイン産地バーデンの中でも最も南の小さなエフリンゲン・キエヒェン村。周囲には絶壁の石灰岩の石切り場が広がっている。ツィアアイゼンの畑の多くはエフリンゲンのエールベルクにある。南向きの斜面で標高は約500m。日中は陽当りがよく温かいが、夜にはシュヴァルツヴァルト(黒い森)からの冷たい風が吹き気温を下げる。そのためブドウは酸を保ったままゆっくりと成熟する。この地はバーデンでも唯一のブルゴーニュと同じジュラ紀の石灰質土壌であり、さらに年間降水量、年間平均気温もブルゴーニュと同程度。そのため古くからシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)が栽培されてきた。当主のハンスペーターもブルゴーニュワインを好み、自らのワイン造りの参考にしている。しかし、「ブルゴーニュワインは好きだがそのスタイルを目指しているわけではない。この土地だからできるブドウ、それを表現するワイン。私は私のスタイルを追い求めたい。」と語る。

当主のハンスペーターはブルゴーニュのトップドメーヌのほか、ボルドー、ジュラ、ドイツの他産地など。とにかく多くのワインを経験し反芻しながら自らのワイン造りに還元している。経歴的にハンスペーターはいわゆる王道のワインメーカーではない。ワイン造りを学校で学んだことも、有名なワイナリーで修業をしたこともない。もともと農園を営む家系で、アスパラガス(現在でも絶品と大人気)やジャガイモ、ビーツ、ブドウなどを売っていた。ここで初めて受け取ったメールの意味が理解できた。自家消費用にわずかながらワインも造っていた。ハンスペーターは家業とは離れ家具職人として働いていたが、気が付けば情熱の矛先はワインに向いており、ついには1991年にワイナリーを設立した。数えきれないほどのワインを飲みながら、時に他の生産者を訪問し意見を求め、自らのスタイルを探求し試行錯誤を重ねた。当初は生産本数も少なく近所の人々ですぐに売り切れた。徐々に生産量は増えたが、その評判が広まる速度には間に合わなかった。 

ハンスペーターとエーデルトラウト夫妻を見ていると「職人気質」という言葉が「気難しい」という意味を包含することに疑問を感じる。彼らはとにかく明るく、人を惹きつける。私がワイナリーを訪問している間にも何人もの近所の人が顔を出し、彼らの作る野菜やワインを買っていった。電話も鳴りなまない。またフランス、スイスとの国境に近いため近所の住人だけでなく国外からも多くの人がツィアアイゼンのワインを買いに訪れる。「今回は彼の赤ワインを買いに来たんだ。いつもすぐに売り切れちゃうからね。本当にラッキーだったよ。」スイス方言のドイツ語は聞き取りに苦労したが、彼の喜びは十二分に伝わってきた。  

この地域には15世紀から行われている” Stubete” というイベントがある。ワインメーカーが友人や近所の人々を招いてみんなでワインを飲みながら語り合うというものだ。私も招待してもらったので喜んで参加した。他にもインポーターやソムリエ、評論家などワインを生業とする人が集まるものと予想していたが、集まっていたのはほとんど近所の住人で古くからの友人だった。バックヴィンテージのワイン15本。1本ずつハンスペーターがみんなに注ぎ、議論をしながら飲む。ワインが繋げる(もしかしたらアスパラガスも)友人関係を実感した。 

追加情報

重さ 1 kg