説明
生産地域ヴァグラムの北西部で、隣接する生産地域カンプタールを縦断する、マンハーツ山脈の南端に位置するゲーシングGösing村にある。スールナーが所有する16haのブドウ畑は、ドナウ川に向かって開けた高台の、標高250~350mの南向きの河岸段丘にあって見晴らしが良い。
オーナー醸造家のトーニ・スールナーは、16歳の時に初めてぶどうを圧搾した。スールナー家はワイン造りだけでなく、1haの果樹園でリンゴや梨を、16haの農地で様々な穀物を栽培し、豚、羊なども飼育する複合農家で、森林も約5ha所有している。トーニは1995年にダニエラ・ヴィーニュさんとの結婚を機にビオロジックへの転換を決意。1997年にはそれを完了し、2004年にはビオディナミへと移行した。「自然と共に働いて生きる」ことをモットーに、「魂と個性とエネルギーがこもった、飲んで美味しく体に良いワイン」を目指している。
ビオディナミで活性化した土壌にはマンハーツ山脈の花崗岩が混じり、砂、砂利、それにレス土が厚く堆積。昼にはパンノニア気候の乾いた熱風が吹き、夜は山から冷気が降りてぶどうの成熟とアロマの蓄積を助ける。品種の大半はグリューナー・ヴェルトリーナーで、他にリースリング、ツヴァイゲルト、ザンクト・ラウレント、カベルネを栽培し、ステンレスタンク、大樽、小樽で野生酵母で発酵する。
ヴァグラムが発祥の地と言われているローター・ヴェルトリーナーを、1930年代に作られた炻器(ストーンウェア)のタンクで醸し発酵した「イルデン」irdenは、トーニとダニエラの好奇心を象徴している。それ以上に、ベーシックなキュベの安定した品質の高さと素直な飲み心地と、亜硫酸塩無添加でありながら、それを感じさせない自然で力強い果実味のグリューナー・ヴェルトリーナーは瞠目に値する。




