説明
ドメーヌ・ドゥ・トレヴァロンは非常に完成度の高いワインを生み出し続け、世界的に高い評価を受けており、日本国内においても根強いファンが多い生産者です。残念ながら当主エロイ・デュルバック氏が2021年に71歳で亡くなり、2020年がエロイ氏が手掛けた最後のヴィンテージとなってしまいました。ル・モンドやフィガロが、その死を惜しむ記事を掲載しています。
芸術家の両親の下に生まれたエロイ氏は、父ルネ・デュルバック氏が1950年代半ばに購入したサン・レミ・ドゥ・プロヴァンスの近郊のアルピーユの丘陵地に1973年よりブドウの植え付けを始め、1976年にトレヴァロンのファーストヴィンテージがリリースされました。その後間もなく、1978年にはDRCのオベール・ドゥ・ヴィレーヌ氏がトレヴァロンを絶賛し、米国の輸入小売商カーミット・リンチに紹介。そしてリンチが試飲を勧めたロバート・パーカー氏が「私の人生の中で最大の発見の1つ」と評したことで世界的人気ワインとなり、瞬く間に入手困難なワインとなりました。
また、多くの画家を友人に持つ父が描いた芸術的なラベルも有名です。アルベール・グレーズ、フェルナン・レジェ、ロベール・ドローネー、パブロ・ピカソなど、偉大な芸術家を友人に持つルネ氏はその年のインスピレーションを沢山のラベルに描き遺していたそうです。
様々なタイミングが重なったことにより、エロイ氏はワイン造りを始めて僅か一世代でその名を世界中に知らしめた偉大な功績の持ち主となりました。現在は娘のオスティアーヌと息子のアントワーヌもドメーヌの運営に携わり、さらなる発展を目指しています。
トレヴァロンの畑は石が多い粘土石灰岩土壌です。現在17ha(赤15ha、白2ha)の畑を所有しています。白亜紀前期の第2段階、1億3000万年未満の非常に特殊な土壌がワインに複雑味を与えています。エロイ氏は元々醸造学を勉強していなかったので、ワイン造りにおいて当初非常に苦労をしました。その中で大切にしていたのは傲慢な自信や先入観を持たず、ただひたすらに工夫を重ね、ナチュラルなワインを作ることです。その姿勢と味わいに魅せられた「ドメーヌ・ドゥ・ラ・グランジ・デ・ペール」の当主ローラン・ヴェイエ氏もトレヴァロンで修行していました。彼もエロイ氏の意志を受け継ぎ、今やラングドックを代表するトップドメーヌのひとつとなっています。





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